top of page
外見ケアLAB
外見ケアと被服
被服ケアでは、「人の身体や心の特性」と「衣服や下着の形や色」そして「生活している環境」の関連を調べることで、自分にフィットする衣服や下着、ブラジャー用の人工乳房などを手軽に選ぶことができる仕組みを作りたいと考えています。
このページではその研究の一例として、女性の胸部特性についての研究を紹介しています。
このページの解説者
土肥 麻佐子(Dohi Masako)
博士(学術)/ 文教大学大学院教育学研究科および教育学部教授, 他
角田 千枝(Tsunoda Chie)
博士(生活工学)/ 相模女子大学学芸学部生活デザイン学科教授,他
石垣 理子(Ishigaki Michiko)
博士(学術)/ 昭和女子大学大学院生活機構研究科および環境デザイン学部教授,他
女性の胸部の形状特性
被服ケアチームでは、自然で形がよいブラジャーのカップ形状、パッドの形を調べるために、「人の胸部の形状」と「製品であるブラジャー」の二つの側面から検討をすすめています。
1. 胸の形は100人100色
身長が高い人や低い人、太った人や痩せた人、いかり肩の人やなで肩の人など、人の体型に様々なバリエーションがあるように、乳房の形状にも様々なバリエーションがあります。日本人女性のブラジャーのカップで覆う胸部前方にどのような形のバリエーションがあるでしょう?
第一歩として、20〜30歳代の日本人成人女性47名の体型の3次元形状より、胸部前方形状の特徴を調べました。
この結果次の4つの特徴がみつかりました。
1. 乳房部の周囲の寸法: バスト、アンダーバストの寸法の大小です。胸部の太さのバリエーションです(図1参照)
2. 乳房の位置の高さ:乳頭の位置が胸部の高い位置にあるか、低い位置にあるかでバストの高さ方向のプロポーションに違いがでます。胸が高い人、低い人といった違いです(図2参照)
3. 乳房の大きさ:豊満な乳房か、小さい乳房か、という乳房のボリュームのバリエーションです(図3参照)
4. 体幹の姿勢:猫背や反身などの姿勢によって、外から見た乳房の形に変化があります(図4参照)
例えば、ブラジャーのサイズ「75A」は、アンダーバストの太さ「75」と乳房のボリュームをあらわすカップ体型「A」のように分類されています。これらは“1”と“3”の特徴をもとにした分類で、理にかなっていることがわかります。
“2”の乳房の位置はブラジャーの付け方で、“4”の体幹の姿勢は立ち方に気をつけることで改善できるなと思います。
これまでの研究より胸部の形状は加齢により変化することもわかっています。
今後年代別の乳房形状や分類の仕方、自分の乳房形状の推定方法などについて詳しく調べ、結果を公表していきたいと考えています。
2. 20~30歳代の女性の胸部の形状
第一歩として、20〜35歳の日本人成人女性47名の体型の3次元形状データを相同モデル化し、赤い線で囲った部分を切り出し、主成分分析をいう解析をすることにより、胸部の形の特徴を調べました。
(国立研究開発法人産業技術総合研究所で計測してRio-データベースで公開している3次元形状データを用い、私たちがモデル化して解析しました)
図1 日本人成人女性47名の体型の3次元形状データ
結果、こんな形の特徴がありました。
主成分分析(多くの種類があるものを集約化する統計学的手法)の結果は下のようで、6つの主成分で形状の77.7%の特徴をあらわすことができました。そのうち主な4つの特徴を図で示します。
図2 特徴“1” 乳房部の周囲の寸法
【第1主成分の特徴】
バスト・アンダーバストの
周囲寸法の違い
パターン1:胸部の寸法が大きい人
パターン2:胸部の寸法が小さい人
図3 特徴“2” 乳房の位置の高さ
【第2主成分の特徴】
バストの高さの違い
パターン1:バストの位置が高い人
パターン2:位置が低い人
図4 特徴“3” 乳房の大きさ
【第3主成分の特徴】
乳房のボリューム(カップ体型)
パターン1:乳房が大きい人
パターン2:乳房が小さい人
図5 特徴“4” 体幹の姿勢
【第4主成分の特徴】
体幹部の傾斜(姿勢の影響)
猫背や反り身など姿勢によって
外からみた乳房の形に違いがあります
bottom of page